観劇にっき「PLAY WITHOUT WORDS」

PLAY WITHOUT WORDS
Bunkamura オーチャードホール
観劇日:7月23日
 ワタシの仕事場がこの公演を主催してましてね。何度もCMやら特番やらで見知っておるわけですよ。でもって、ワタシの友人・師匠・愛人(うそ)に乗越たかおというダンス評論家がおりまして、彼のブログを見ていたらば、公演後のトーク・イベントの司会もしてたりして、そんでもってオススメだと言っておる。チケットもまだあるらしいっていうんで、急遽行ったのでした。
 あらすじであります。
 1967年のロンドン。婚約者ともラブラブな貴族の若者が高級アパートの賃貸契約を結んで意気揚揚と2人でクラブにでかけるんだけど、そこで出会った友人のトランペッターになれなれしくされちゃう婚約者。「なんかイヤな人ね」なんて感じでアパートに帰って、よろしくやろうと思ったんだけど、婚約者はその気になれんと帰っちゃう。
貴族は召使の男性を雇う。貴族の出なもんだから自分では何もやろうとせず、新聞のページをめくるのからパンツをはくのから、全部召使にやってもらう始末。でも召使は文句も言わず、忠実に仕事をしてくれる。召使は貴族に「女性の召使を雇ってみんかね」と持ちかけられ、軽い気持ちで雇い入れる。これが若くてすこぶる美人。貴族は順風満帆な顔をして毎日を過ごす。
だけど、婚約者の女に対する召使の態度はすこぶる冷たい。「ワタシの好みの部屋じゃないわ」と、買ってきたクッションとか絵画とかテーブルクロスも結局彼らに捨てられちゃって、婚約者と召使の間はますます険悪ムードに。でもそんな事は露とも気が付かない、バカな貴族。
ある日引越しパーティを開くんだけど、婚約者の友人はいけすかない芸術家ばかりで、どうもパーティは盛り上がらない。そこにトランペッターの男が現れて目隠しゲーム(鬼さんこちら的なゲーム)を貴族にやらせる。婚約者かと思って脚を掴んだらば召使の女性。貴族は一気に彼女を意識し始める。それに気づいた婚約者は外に出てしまい、街をふらつく。気が付いたらトランペッターの元へ会いに行き、寂しさからか関係を持ってしまう。同じころ、貴族と召使も……。
実は召使2人がトランペッターと契約を結び、貴族階級の人間を懲らしめてやろうと計画した罠だった。貴族は召使の男に浮気をとがめられ、立場が逆転。婚約者の身も心もボロボロになってしまう。
 これを全くのセリフなしで(だからこのタイトル)、ボディ・ランゲージで表現していく。ダンスだけでこの入り組んだ気持ちを表現してたのはスゴかったです。登場人物は5人。だけど舞台には同じ役の人間が3人とか出てきちゃう。ちょっとした気持ちの違いを一気に複数の人間に演じさせてるので、見てるこっちはどれが本当の気持ちなのか(例えば仲睦まじいのかケンカしてるのか、とか)がわかんない。でもその曖昧さはあまり重要ではなくて、結局途中がどうであろうとも結末は一つしかない。客に解釈を投げちゃうやり方は色々あるけど、これは斬新です。
あるシーンでは、貴族が召使の男性に服を脱がせてもらう方と着せてもらう方をいっぺんに見せててね。単純に巻き戻しなのかというとちょっと違ってて、この2組の動きは微妙に入り組んでいて、途中で召使がクロスしたりするんです。貴族階級の滑稽さもあいまって、唯一観客が爆笑するシーンでした。
あるシーンでは、召使の女性と貴族がセックスするシーンがあって、最初1組が登場して静かにラブシーンが始まるんだけど、盛り上がってくうちに2組になり、それがくんずほぐれつ入り乱れると、一組で演じるより濃厚な印象を受けるんですわ。
 セットは中央にあるらせん階段。これがアパート内の階段にもなり、歓楽街の階段にもなる。階段の下にはアパートの玄関……かと思ったら、あるシーンではシャワールームになり、酒場のカウンターにもなり、町へ向かう電車にもなっちゃう。コンパクトなセットをうまく利用してました。ただ、その階段は回転するんだけど、回る度にギシギシ音がしてねぇ。それがあまりにも大きな音なので動いてる感が出ちゃって興ざめでした。あぁ、もったいない。
 音楽は生演奏だったらしいっすね。めちゃめちゃかっこ良かったなー。生であることをもっと強調させて、オーケストラピットとか舞台の脇に出てやればよかったのに。もったいにゃーい。
 出演者の女性たちは皆さんキレイ! 特に婚約者の一人にホレボレしました。イタリア人らしいハッキリした顔立ちでゾクゾクっすよ。一方男性陣に個性が見られなかったなぁ。召使の一人が悪党な顔をしてた位です。
 で、ふと思ったんですが、これはダンスなんでしょうか。マイムでは? 純粋に踊りを見に来た人には物足りなかったんじゃないかしら。
それと、斬新だと書いた複数の人間が演じるというのも、予習なしで見た人は厳しいかもしんない。誰を見たらいいのかわかんないまま、結局シーンそのものの印象が残らなくなって、しまいにはどんなあらすじなのか追えなくなっちゃうと思う。チラシでいいから全員に配ればよかったのにね。パンフレットを買う人なんてのはそんなにいないんだし。ワタシは毎回買うけど。パンフを開演前に熟読して良かったと思ったのは初めてであります。
 あとね、やっぱりチケット代高いっすよ。ワタシはなぜか無理をして13000円の席にして前から6列目。数日前に買ったのにかよ! そんだけ売れてないって事です……。しょうがないよね。途中から8000円で2階席とか作られたそうです。リピーターは10000円。カンパニーのフリークだったら、いっぺんに何人もを目で追えないから、そりゃ何度も行くよねー。
ダンス初見の人間には「?」なところもあったけど、無言劇と思ってみると、エロティックだしスタイリッシュだしテンポはいいしで、楽しめましたですよ。1時間20分程度という上演時間もコンパクトだったのも良かったです。
映画「召使」というのを下敷きにしてるらしいので、今度はそっちを見てみようかと思いました。
Posted: Wed - July 28, 2004 at 04:00 pm
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